経営者や経営企画に携わる方々の中で、
と思われている方も多いのではないでしょうか?
私自身、ベンチャー企業を立ち上げた当初は、同様の考えを持っていました。
では、そもそも何故経営コンサルティングは高い、あるいは高いと思われているのでしょうか?
理由は3つあると私は考えています。
- 高いスキルを求められているため、どうしても人件費がかかってしまう
- 労働集約型になりやすい
- 企業の経営に対して付加価値を提供するのが仕事なので、相応の報酬が求められる
今回の記事は、特に❶を掘り下げてみたいと思います。経営コンサルタントには、一体どんなスキルが求められているのか?そして、どのようにクライアントの経営課題を解決しようとしているのか?そのあたりも分かりやすく解説できたらと考えております。
なお、本記事は、以下のような方にオススメです。
- 中小企業経営者
- ベンチャー企業経営者
- 企業の経営企画に携わられている方
- 事業を立ち上げたばかりの方
- これから事業を立ち上げようとされている方(フリーランス含む)
- 経営コンサルタントという職業に転職または就職を考えている方
- 経営について学ばれている方
目次(コンテンツ)
理由①:高いスキルを求められているため、人件費がかかってしまう
経営コンサルタントが果たすべき役割は、ずばり「クライアントの経営課題を解決する」ことです。これを実現するためには、非常に多くのスキルが求められます。
以下が、私が考える「経営コンサルタントに求められる主なスキル」です。これらのスキルを総合的に持ち合わせている人材は極めて稀少であり、どうしても人件費が嵩んでしまうのが実情です。
スキル①:信頼関係構築能力(ヒューマンスキル)
まず、いの一番に重要となるスキルが、「信頼関係を構築できる能力」です。
この信頼関係を構築するためにやるべきことはいくつかありますが、私自身が最も気をつけていることの一つに「己の欲を一切捨て、クライアントやクライアント企業にとって重要となる付加価値を提供する」という点に集中することが挙げられます。
クライアントにとって少しでもプラスになることなら、それを一切出し惜しみしない、というのは基本中の基本であると考えます。それをやって、成果が出始めて、やっと僅かながら信頼していただける、という状況になります。
また、成果を出すだけでは信頼はしていただけません。「挨拶をする」「時間厳守」「機密事項は絶対に漏らさない」「笑顔で接する」「相手が喜ぶことをする」など、ビジネスパーソンとしての基本を徹底的に磨くことは極めて重要です。
至極当たり前の話ですが、ビジネスは信頼関係が無ければ成り立ちません。これはコンサルティングに関しても同じで、クライアントから信頼していただかなければ、企業にとって重要となる経営課題に関する情報をご共有いただくことは絶対に叶いません。
スキル②:ヒアリング能力(インタビュースキル)
そして、企業の本質的な課題を解決するためには、ヒアリング能力に長けていることが極めて重要です。
ヒアリング能力と言っても、ただ単に人の話を聞けば良い、ということではありません。経営者又は経営担当者に対して、企業が抱える課題を検出するために、適切な質問を行っていく必要性があります。
私自身、クライアントとお話しする際は、あたかも自分がビジネスジャーナリストになったつもりで話を聞きます。例えばある経営者にインタビューをする時、優秀なビジネスジャーナリストはその企業や業界のことを徹底的に調べ上げ、内容の濃い回答が得られるよう、事前に相当綿密な準備をしてインタビューに臨みます。私自身も、初回セッションで行う課題の洗い出しに関しては、数十個の質問を準備して臨み、更に本質的な課題が見えるまで、徹底的に深掘りを行います。
偶に、こういったアプローチを嫌がる経営者の方もいらっしゃいますが、企業が抱える本質的な課題を検出するためには、必要なプロセスです。
また、組織内では、キーマンとして紹介された経営企画の方が「当社の課題は営業部署の非効率性だ」と述べたり、別のキーマンとして紹介されたその営業部長の方が「当社の課題は経営方針が曖昧だからだ」と述べられるなど、「人によって言うことが違う」ということがよくあります。
従って、インタビューの延長線上で、数値などをベースとした客観的なデータやファクトを徹底的に洗い出し、本質的な課題が何かを検出するためのお手伝いをさせていただくこともあります。
スキル③:分析能力(アナリティックスキル)
客観的なデータやファクトを徹底的に洗い出したあとは、それをクリティカルに分析する能力が求められます。
分析において重要なことは他にもたくさんありますが、その一つとして「仮説を立てる」能力が挙げられます。例えば、全ての情報が集まっていなくとも、企業からのある程度のヒアリングで、「伝統的に会社を牽引してきた商品Aが、今は経営の足枷になっているのではないか」という仮説は立てられます。
仮説を立てれば、情報収集の方向性も定まってきます。例えば、商品Aの顧客満足度、商品Aの競合や市場の情勢、商品Aの社内における評価、商品Aの今後の見通し、など、必要となる情報がある程度絞れてきます。そうすれば、効率よくスピーディーに仮説を立証することができます。
この仮説を立てる際に重要になってくることは、言い方は悪いかもしれませんが、「情を捨て、あくまでクリティカルに分析をする」ということです。
例えば、商品Aに対して、経営者が強い思い入れがあるとしましょう。しかし、商品Aの売れ行きの悪さが経営にとってボトルネックになっている場合、経営者の思い入れに対して情を持ちすぎて指摘や改善案の提案を躊躇してしまえば、その企業の経営にとって価値をもたらすどころか、損失を招いてしまうことになります。
経営者や企業のビジョンに寄り添うことは重要ですが、本当の意味で経営にとってプラスになるかどうかを客観的に考え、分析していくことが重要です。
スキル④:短期間で集中的に業界に精通する能力
分析能力にも関連してきますが、短期間で集中的にその業界に精通することは、コンサルタントにとって必須と言える能力です。
コンサルタント業は様々な業界を担当することが多いですが、その中で経営課題を解決するという極めて重要な責務を担うことになります。
従って、「この業界は私にとってまだ新しいので」と言ってしまうのは、コンサルタントとして失格です。コンサルタントとして企業と向き合う場合、大抵は最低でも10年程度のキャリアを積んだベテランの方とやりとりすることが多くなるため、感覚としては「1-2週間程度で10年選手と渡り合えるぐらいのナレッジを獲得する」ことはある意味必須と言えます。
私は広告・マーケティング、ウェルネス産業、観光業、不動産業など、幅広い業界に携わってきましたが、短期間で業界に精通するには、まずは「現場を徹底的に知ること」が重要であると考えています。
例えば私が飲食業のコンサルティングをコンサルさせていただく際、可能な限り1日体験でお店のお仕事を手伝わせていただくようにしています。お客様と直に接することができますし、現場の課題が直接的に見えますので、そこから様々なアイデアや気づきが得られることが理由です。
スキル⑤:行動力
これはスキルというより素質といえるかもしれませんが、前述の通り「現場を知る」ことや「情報を収集する」ことを行うために、一定の行動力が必要となります。
要は「足を動かす」と言えば良いでしょうか。社会人として20年近くの経験を積ませていただいてきましたが、やはり「足を動かす」ことは何年キャリアを積んでも基本中の基本かな、と感じています。
スキル⑥:新技術に精通する能力
自身の経験からも、経営課題を解決するためには、費用対効果の大きい新技術導入を提案することが多いわけですが、当然のことながらコンサルタントは様々な業界の様々な新技術に精通しておく必要性があります。
ここで言う「精通」とは、ただ「知る」だけでなく「使用経験がある」ことを指します。当たり前の話ですが、実際に使用経験が無ければ、どのように企業に対して付加価値をもたらすことができるのか、想像することが困難なため、提案をすることができないためです。
特にこれからは少子高齢化の背景から、生産可能人口が急速に減少していく中で、限られた人的リソースの中で経営改善していくことが求められる時代です。各企業もDXを推進していく中で、コンサルタント自身がDXをリードできるくらい新技術に精通する必要があります。
なお、DXの基礎知識や、DXの導入方法・メリットなどについて記事を書いておりますので、詳しくはそちらを是非ご覧ください。
スキル⑦:新技術導入をリードするプロジェクト管理能力
今後高齢化が急速に進んでいく中で、仮に新技術導入を提案したとしても、「私にはよくわからないから、坪松さんやってよ」と言われることが増えています。
そこで「私は経営コンサルタントに過ぎませんから、難しいです」と答えているようでは、無責任と言えるかと思います。
繰り返しですが、経営コンサルタントの存在意義は、「企業に付加価値をもたらし、経営改善を実現すること」です。
本気で経営改善を実現したいのであれば、「提案しっぱなし」ではコンサルタント失格と言えます。
従って、新技術を提案するのであれば、そのプロジェクトを推進できるプロジェクト管理能力を持ち合わせることが今後のコンサルタントには求められます。
スキル⑧:プレゼンテーションスキル
そして、提案したい内容をプレゼンテーションする能力も求められます。
何かを提案する際、プレゼンテーションで求められるのは、「SMART」であることです。つまり、提案内容が、分かりやすく論理的で現実的であるかどうか、ということです。
SMARTとは、Specific、Measurable、Attainable、Relevant、Time-bounded、それぞれの頭文字を取ったものです。
つまり、経営課題やその原因、そして提案内容が、
Specific:具体的なものかどうか
Measurable:測定可能かどうか(数値化できているかどうか)
Attainable:達成可能かどうか(現実的かどうか)
Relevant:ソリューションが課題に関連性があり、成果にきちんと結びつくかどうか
Time-bounded:期限が決まっており、アクションプランにまで落とし込めているかどうか
ということが重要になってきます。
<おまけ>
上記以外にも、「客観的に見れる立場だからこそ提案できること」が求められています。事業に本格的に従事する、つまり「中に入る」となかなか客観的に物事が見えづらくなり、自分たちがやろうとしていることが、果たして市場において機能するのかどうか、ひいては社内でも機能するのかどうかは、「中の人たち」が誰もが知りたいことです。企業が「社外取締役」や「社外C-level」などの形式で、外部から重要なポジションを招くことがあるのは、こういう客観的且つクリティカルな意見が欲しいからに他なりません。
番外編:憑依スキル
求められるスキルの中で、番外編として「憑依スキル」をあげさせていただきます。
「憑依」というのは本来「魂や霊が乗り移る」ことを意味しますが、現代社会においては「何かの役になりきる」ことを指す場合に頻繁に使われます。
「憑依芸」で有名なのが、2020年に残念ながら亡くなられた志村けんさんです。志村さんは「変なおじさん」や「バカ殿」など、数々の有名キャラクターを演じた伝説的コメディアンですが、こういったキャラクターに、まさに魂が乗り移るが如く「なりきる」のが特徴的でした。この「憑依芸」という究極のプロ根性で、何十年に渡って沢山の人に笑いを提供してきました。
私がここで言う「憑依」とは、「コンサルタントは、魂が乗り移るが如くクライアント企業の一員になりきることができるか」ということです。クライアント企業のご相談に乗らせていただく、ということは、イコールその企業の一員として動くことと同じです。つまり、企業の従業員と同等もしくはそれ以上のモチベーションで、その企業を良くしたい、と思えるよう、その企業の一員に憑依するということは、コンサルタントの「基本中の基本」だと考えています。
以上が経営コンサルタントに求められる主なスキルとなりますが、これだけに止まらず他にも多くのスキルが求められることがあります。それくらい多岐に渡るスキルや能力が求められており、必然的に経営コンサルティングは人件費が嵩んでいるのが実情です。
理由②:労働集約型になりやすい
経営課題の解決は、一朝一夕でできるものではありません。課題の洗い出し、課題の原因究明・分析、ソリューションの洗い出し、ソリューションの提案、ソリューションの実行、ソリューションの課題検出&改善、改善案の実行など・・・これらをいかに早く着実にPDCAで回していけるかが鍵になってきます。
クライアントの経営課題を解決できなければ、クライアント組織の経営者や従業員だけでなく、そのご加増にまで影響が及ぶことがあります。従って、クライアントにとってはシビアで重圧のかかりますが、着実に成果につなげるためには、徹底的なリサーチやソリューション考案のための時間が必要で、どうしても労働集約型になりやすいのがコンサルティング業務の特徴です。
また、昨今はビジネス環境などの変化が激しく、情報収集や分析に時間がかかっていることも事実です。その中で各コンサルタントは一刻も早いクライアントの課題解決のためにソリューションを創出しようと必死になっていますが、労働集約型である要因の一つであることは間違いありません。
加えて、コンサルタントにとって未経験領域(業界、職種、相談内容によって)である場合、さらに時間を要する場合があり、これも労働集約型である要因の一つです。
理由③:「経営課題を解決する」という付加価値の高い仕事である
「経営課題を解決する」というのは、本来経営者が社内で解決したいと経営者は考えています。しかし、事業にしっかりと従事してしまう、つまり「中の人に」なってしまうと、なかなか客観的に物事が見えなくなるため、外部から経営コンサルタントや社外取締役などに経営におけるアドバイスやコンサルティングを依頼します。
この「経営課題を解決する」という行為は難易度が高く重圧も大きなミッションであるため、自社だけでなく外部からのアドバイスなど、協力を募ってやっとできるかできないか、というものでもあると個人的に感じています。
従って、それだけの難易度が高いミッションを達成し、結果的に企業や組織全体に高い付加価値を提供することになるため、それだけ支払われるべき報酬も大きくなる、ということが言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめると以下のようになります。
- 経営コンサルティングが高い理由
- 高いスキルを求められているため、どうしても人件費がかかってしまう
- そのスキルとは?
- スキル①:信頼関係構築能力(ヒューマンスキル)
- スキル②:ヒアリング能力(インタビュースキル)
- スキル③:分析能力(アナリティックスキル)
- スキル④:短期間で集中的に業界に精通する能力
- スキル⑤:行動力
- スキル⑥:新技術に精通する能力
- スキル⑦:新技術導入をリードするプロジェクト管理能力
- スキル⑧:プレゼンテーションスキル
- 番外編:憑依スキル
- そのスキルとは?
- 労働集約型になりやすい
- 経営課題解決というシビアで重圧のかかる仕事なので着実に成果に繋げるためのソリューション考案に時間を要するため、どうしても労働集約型になる
- 昨今はビジネス環境などの変化が激しく、情報収集や分析に時間がかかっているため、どうしても労働集約型になる
- 未経験領域(業界、職種、相談内容によって)である場合、さらに時間を要する場合があり、労働集約型である要因の一つ
- 企業の経営に対して付加価値を提供するのが仕事なので、相応の報酬が求められる
- 難易度が高いミッションを達成し、結果的に企業や組織全体に高い付加価値を提供することになるため、それだけ支払われるべき報酬も大きくなる
- 高いスキルを求められているため、どうしても人件費がかかってしまう
なお、エフィ・ビズは、経営課題解決を効率よく安価で実現できるよう、様々な工夫を凝らしています。エフィ・ビズがリーズナブルな価格で着実に成果を出すためのコンサルティングサービスを提供できる理由は、以下ブログに書かれておりますので、宜しければぜひご一読ください。
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