令和時代に入り、社会やビジネスそのものが急激な変化を遂げています。YouTubeなどの動画情報プラットフォームなどが大きく台頭し、海外から入ってくる最新技術の情報はほぼリアルタイムに入手することができ、オンラインでの翻訳技術も以前より格段に進化(例:DeepLなどのハイクオリティな無料翻訳サービスなど)していることから、更に情報入手のスピードが向上しています。
そこに追い打ちをかけるかのように、2020年にはコロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、ZoomやGoogle Meetなどに代表されるオンラインビデオコミュニケーションツールなどが急速に浸透し、企業における業務のデジタル化、つまりDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進んだと言っても過言ではありません。
電通デジタルが2019年に実施した「日本企業のデジタルトランスフォーメーション調査」(調査サンプル数:3,823)によれば、「DXに着手した」と回答した企業は全体の70%にのぼりますが、「DX化を完了済み」と回答した企業は、わずか8%に過ぎません。
参照)電通デジタルHP
このことから、まだまだ多くの企業がDX化を推進しようとしている、あるいは推進が必要である、と考えていると言えます。
本記事では、
- DXの定義や語源
- DXが今必要な理由
- DXがもたらすメリット(事例)
- DXの導入手順
以上を徹底解説したいと思います。DXを具体的に実践していただくことで、あなたの会社に様々なメリットがもたらされる可能性があるので、是非ご一読ください。
なお、
本記事は、以下のような方にオススメです。
- 中小企業経営者
- ベンチャー企業経営者
- 企業の経営企画に携わられている方
- 事業を立ち上げたばかりの方
- これから事業を立ち上げようとされている方(フリーランス含む)
- 経営について学ばれている方
目次(コンテンツ)
DXの定義や語源、はじまり
DXの定義
経済産業省は、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
DXの語源
DXとは、そもそもデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)を意味しています。「X」は、英語圏ではしばしばTrans-(「反対側」「越えて」「変えて」を意味するラテン語の接頭辞)を略する時に使われる習慣があり(例:TranslateをXlate、TransmitをXmitと使う)、Transformationを示すにあたりXという単語が使われたようです。
また、デジタルトランスフォーメーションを世界で最初に提唱したのはスウェーデンのウメオ大学(Umeå University)のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)教授と言われており、2004年のことになります。ストルターマン教授は“Information Technology and the Good Life”という論文の中で、「デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術が人間の生活のあらゆる面で引き起こす、または影響を与える変化として理解することができる」と述べています。
DXのはじまり
では、このDXは、一体いつどこで始まったのでしょうか?
ビジネスのデジタル化は多方で同時多発的に行われたこともあり、「DXが世界で初めて導入された例」を特定するのはほぼ不可能と言われています。
ただ、分かりやすい先進的DXの事例として、「音楽のデジタル化」があります。
この記事を読んでいただいている方の中でも、Apple社が初代iPodを発売した時の衝撃を覚えている方はいらっしゃるのではないでしょうか?
そうです、音楽のデジタル化が本格的に一般化されはじめたキッカケは、Apple社のiPodやiTunes、Apple Musicなどのプロダクト・サービスでした。初代iPodは2001年に発表・発売されたため、ストルターマン教授が論じたDXよりもはるか前に、DXを本格的に商業面で実現していたのです。(それを考えると、やはりApple社、そしてスティーブ・ジョブズ氏はすごいですね・・・)
画像)初代iPod
それまで、人々はCDを購入したりMDに録音するなどして音楽を聴くことが一般的でした。一部では、それ以前に米国でNapsterのようなデジタル音楽ファイル共有ソフトウェアを開発する会社は1999年ごろに存在したものの、著作権法違反の疑義が早くからかけられ、最終的にはNapsterのソフトウェアそのものが違法と判断され、会社も清算型倒産(破産)手続をする事態となりました。
著作権まわりや技術的な課題を全て解決し、かつオシャレなデザイン、質の高い音を出すコンパクトなイヤホンで人気を博したのがiPodでした。また、iTunesやApple Musicを経由してデジタル音楽を購入できるスキームを確立し、アーティストの著作権をきちんと保持した上でデジタル音楽が一般社会の生活に定着することとなりました。
これにより、人々はCDを購入せずとも好きな音楽がすぐに聴ける便利な状態になりました。まさに「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立」した格好の事例です。
「デジタライゼーション(デジタル化)」との違い
「デジタライゼーション(Digitalization)」や「デジタル化」という言葉も使われますが、意味が全く異なります。
デジタライゼーションは、単純に「デジタルやテクノロジーを活用して、既存製品の付加価値を向上する」ことを目的とした行為であり、DXの「経営や事業の在り方を変革したり、生活や働き方そのものを変革する」という定義と比較すると、より「規模が小さいもの」と捉えられます。
例えば、デジタライゼーションは、フィルムを使用したカメラを、デジタルデータに落とせるカメラ(=デジカメ)した場合に当てはまります。
これに対して、DXは、Zoomなどのオンラインビデオ会議ツールを導入することにより、これまで通勤して仕事場に通っていたのを、自宅でも仕事ができるようにテレワーク化するように、「働き方そのものを変えてしまう」まで変革した時に使われます。
参照:「コレ1枚で分かる『デジタルトランスフォーメーション』の真意と『デジタライゼーション』との違い」
企業や個人の行動や活動に大きな変革を起こしたい場合は、今後DXを推進していくことが求められることが多くなりますが、その際は「デジタライゼーション」の範疇に収まっていないかどうか、注意すべきと言えます。
DXを導入すべき理由
内山悟志氏著の「未来IT図解 これからのDX デジタルトランスフォーメーション」によると、DXを導入すべき理由は、主に2つあります。
①ビジネス環境が大きく変化しており、順応する必要がある
市場のグローバル化とボーダーレス化
ビジネスのグローバリゼーションは以前から存在していましたが(例:自動車産業など)、21世紀に入ってから情報技術やインターネットが大きく進化したことにより、グローバリゼーションのスピードが加速していきました。GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などのメガ企業は、それぞれの企業が行う事業自体がグローバル化&ボーダーレス化していったことはもちろん、世界中のビジネスのスキームをグローバル化&シームレス化させるほどのインパクトを残していきました。特にGoogleはGoogleカレンダーやGoogleドライブ、Google Meetなど数々の実用的サービスを提供し、世界中の企業がグローバル且つシームレスに事業を実践できるようなプラットフォームを作ってしまっています。
顧客の価値観の多様化
企業は顧客に対して様々な工夫をこらしたサービスを提供し、多様化するニーズにアジャストすることが求められています。それを実現した企業の一つがAmazonです。Amazonは独自でAIを開発し、顧客の行動動向を研究分析することによって以下を「あなたへのオススメ」を通じて実現していきました。
- カスタマーが探していると思われるサービスや製品を提案でき、満足度の向上に繋がる
- カスタマーの興味がありそうなコンテンツを提案し、サイトの滞在時間を長くできる
- コンバージョン率を改善できる (商品の購入、ダウンロード、サブスクリプション、ビデオや音楽のストリーミングなど)
参考:Amazon社「『あなたへのおすすめ』はどう生成するの ? Amazon Personalize で簡単に実現する方法をグラレコで解説」
画像)Amazon「おすすめ商品」の一例
ディスラプターの台頭
ディスラプターとは、「既存企業や業界の優位性を脅かすような存在」のことを指します。例えば、デパートやショッピングモールなどの小売業界にとってのAmazon、ホテル業界にとってのAirbnb、タクシー業界にとってのUberやGrabのようなサービスのことです。
Airbnbはホテル業界に大きな風穴を開けました。彼らの台頭までは、人がどこかに宿泊する時はホテル、というのがごくごく一般的でした。しかし、Airbnbは「民泊」という全く新しい概念を誕生させ、結果的には各国政府が新たな法律を制定するまでの市場を短期間で形成してしまいました。コロナウイルス感染症発生前まではその勢いは最高潮に達し、「Airbnbが取り扱うリスティング(宿泊施設)は世界10万以上の都市に渡って600万件以上あり、その規模は世界7大ホテルチェーンの合計客室数を上回るスケール(Airbnb HPより)」までに成長していました。
コロナウイルス感染症発生後は宿泊市場自体が世界的に大きな打撃を受けましたが、それでもAirbnbは将来の事業復活を見込んで2020年12月に上場、時価総額は10兆円を超えるまでになりました。(日経新聞より)
画像)Airbnbホームページ
労働力不足
日本を中心に、今後少子高齢化に伴い労働力不足が今後顕著になってくるのは目に見えています。労働力不足(=生産人口不足)に関しては別記事「【10分で分かる】「働き方改革」の基礎知識と経営者がやるべき4つのこと」の中でも詳しく書いておりますので、そちらをご覧ください。
②テクノロジーが大きく進化したため「導入しない手はない」状態に
クラウドの浸透
ここ数年で「クラウド」を使ったサービスが急速かつ幅広く浸透しました。誰もが簡単に導入することができるクラウドサービスがどんどん立ち上がっていったのがその理由です。
例えばGoogleのオフィスツール(ドキュメント、スプレッドシート、プレゼンテーションなど)は、Webブラウザ上で資料作成や編集を行え、且つ「自動保存」(自分が保存しなくともアプリが勝手に保存してくれる)機能があるため、「ハードディスクの容量を食わずに」「保存忘れやデータ消滅の危険がない」状態が実現され、事務作業の効率が飛躍的に高まりました。
画像)Google ドキュメント
AIや音声認識などデジタル技術の急速な発展
AIや音声認識などの新技術を搭載したサービスが急速にどんどん台頭しています。例えばAmazonのEchoやAlexa。ユーザーの音声を認識し、インターネットなどの技術を駆使してユーザーのリクエストという課題を解決するためのソリューションを提供する、という画期的なIoT(Internet on Things)プロダクトです。
画像)Amazon Echoシリーズ
技術のコモディティ化
以前はこういった新技術などは「映画に出てくるようなフィクションの世界」と考えられていましたが、現在は急速にどんどん身近なものになり、一般社会で幅広く扱えるようになりました。
上記の新技術はあくまで一例中の一例に過ぎません。アメリカや中国を中心に、現在はどんどん新しい技術が開発され、それらを活用した新サービスが、我々の知らないところでどんどん生まれています。
新技術を使って社会を大きく変革するようなサービスは、現時点で特に技術やスキルを身につけていないような人が、これから生み出せていける。そんな時代に突入したのです。
現にAirbnbの創業者の一人、ブライアン・チェスキーは、創業するまではビジネスの経験がほとんどなく、美大出身の「元失業者」。経済的リテラシーは持ち合わせておらず、クレジットカードで数百万のお金を借りて資金調達を行ってしまうような人でした(日経ビジネスより)。こういった人が、様々な新技術をフル活用して、今や時価総額10兆円を超す大企業のオーナーになってしまう、そんな時代です。
DX導入事例(メリット)
では、ここでDXを導入した事例をいくつかご紹介します。
ここではあえてエフィ・ビズがコンサルティングさせていただいた企業様や、エフィ・ビズのコンサルタント本人が手がけてきたDX案件の事例をご紹介したいと思います。
①不動産仲介会社におけるマーケティング&営業活動の変革
- 企業名:Sotheby’s International Realty フィリピン支社
- 従業員数:30名
- 業種:不動産仲介業
- 取り組み概要:新技術を取り入れ、マーケティング&営業活動に変革を起こし、成果もあげた
2018年に着任した当時、社内の人間関係は崩壊しており、かつ売上があがらず大赤字を生み出すような状態となっていました。着任後、社内体制の整理・整備やバックオフィスの業務効率化、コスト削減や営業チーム再建などを実施し、経営状態が上向いてきました。
その中で、営業活動の非効率性が少なからず存在していました。仲介業ということで、営業は賃貸又は購入の興味度が高い顧客候補からネット上で問い合わせを獲得し、マニラ市内にあるマンションやオフィスへ内覧に連れていき、その後クロージングする、というのが従来の営業の流れでした。
背景としては、
- 人員削減必要性により、問い合わせ回答担当に人員を割けず、営業担当が初動から問い合わせ処理をしていた
- フィリピン人の性質として「時間にルーズで遅刻が当たり前」
- マニラは「世界最悪の渋滞都市」の一つ。2020年時点で世界第2位の渋滞都市と言われている(参考:CNNフィリピン)
- 電車など他の公共交通機関が発達しておらず、車移動しか移動手段の選択肢がない
ここで発生した課題は、
- 問い合わせを上手く捌けきれず、「取りこぼし」が月20-30件発生していた
- 内覧自体、時間が相当かかる。市内の内覧で一人平均3-4時間かかる
- 顧客からも「渋滞があるから」と内覧拒否が相次いでいた
画像)マニラの渋滞
これでは従業員はもちろんのこと、顧客にとっても内覧に行って帰ってくるだけでストレスがかかってしまいます。
そこで、私は以下の取り組みを行いました。
1. 問い合わせに対して自動AIチャットサービスで対応
ホームページ上で自動AIチャットサービスを導入することにより、人員を多くかけずとも問い合わせから内覧に繋げる流れを作りました。
画像)実際に使用していたチャット問い合わせシステムの画像
2. 現地に行けずとも内覧できる「バーチャル内覧」システムを取り入れた
オンラインバーチャルシステム「Matterport」を導入したことにより、現地に行かずともVRで内覧ができるようにした
画像)Matterport(バーチャル不動産内覧システム)
Matterport(バーチャル不動産内覧システム)の具体的な一例をご覧になりたい方は こちら をクリックしてください(出典:Sotheby’s International Realty Webサイト)
3. 上記1と2によって得られた成果
- 問い合わせ件数が1.5倍に増加
- 内覧希望が3倍に増加
- 内覧で使っていた時間を顧客との関係構築に移行し、営業担当全員が顧客との関係が良化
- 結果的に売上が月ベースで200%以上に増加
- 従業員が効率的に成果をあげられるようになり、さらにモチベーションUP
まとめ
本DXを推進したことで、以下のようなメリットがありました
- 自動チャットを導入したことにより、マーケティング形態が大きく変革され、成果もあがった
- バーチャル内覧システムを導入したことにより、営業形態が大きく変革され、成果もあがった
- テクノロジーを導入したことにより、従業員の負担や就業時間が軽減され、その中で成果もあがったことにより、モチベーションが向上した
②宿泊施設運営会社によるCS活動の変革
- 従業員数:10名
- 業種:宿泊施設管理業など
- 取り組み概要:新技術を取り入れ、CS活動に変革を起こした
ベンチャー企業着任後しばらくしてから、会社としてコスト削減や業務効率化の必要性に迫られました。
当時の背景としては、
- 日本への観光訪問者数が右肩上がりで年々増えており、宿泊需要が高かった
- しかし同時に供給数も増えており、宿泊単価はむしろ下がり始めていた
- 同時に、今後の更なる需要増を見込んで施設数を増やしたことから運営コストなどが膨れ上がった
- カスタマーサポート担当がゲストからの全メールに対して受け答えをマニュアルで行っていた。
課題としては、
- 宿泊件数が多く問い合わせ数も多いため、カスタマーサポート担当によって1日の対応件数が数十件にのぼっていた
- これにより人件費が嵩んでしまい、予算を10%近くオーバーしてしまっていた
- また、ゲストからのメール対応にコストがかかりすぎていたため、宿泊体験の向上という最重要課題に取り組める時間的余裕が少なくなっていた
そこで、私は以下に取り組みました。
問い合わせに対して自動的に返答するSaaSを導入
宿泊施設専用のSaaS「Suitebook」を導入したことにより、以下において自動的にメッセージに返答する状態が作れました。
- 宿泊予約確定時
- チェックイン前日のリマインダー
- チェックイン当日のウェルカムメール
- チェックイン翌日の「何か部屋に問題がないか」どうかの確認
- チェックアウト前日のリマインダーメール
- チェックアウト後のレビュー(口コミ)依頼
画像)Suitebookのホーム画面
上記を導入したことによる成果
- メール処理の時間が半分程度に削減
- 人件費を削減
- 余った時間で他の業務(宿泊体験を充実させる施策の実行)に取り組み、結果的に施設におけるレビューの好評価を得られ(Airbnb「スーパーホスト」の獲得)、継続的に安定して予約が取れるようになった
DX導入の具体的手段
DXの内容は企業によって千差万別なので、一概に「これ」という手順があるわけではありませんが、ある程度当てはまると思われるものをお伝えしたいと思います。
一言で言えば、現時点ではDX導入においてもPDCAを回していくことが重要、ということになります。
DX導入手順
- PLAN
- 1-a. 課題の洗い出しや原因の追求
- 1-b. ソリューションの洗い出しや効果予測、予算を算出(DXが本当に必要か判断)
- 1-c. 人材の確保や役割の明確化
- 1-d. タスク洗い出し&各タスクをアサイン&タイムライン作成
- DO
- 実行
- CHECK
- 3-a. 成果の確認&課題の洗い出し
- 3-b. 改善案の洗い出し
- ACTION
- 改善案実行
- その後、さらに改善が必要であれば❸CHECKに戻る
①PLAN
1-a. 課題の洗い出しや原因の追求
現状組織として抱えている課題で、DXによって大きく改善が見込めそうなものを徹底的に洗い出します。また、その課題が発生している原因も分析します。この際、課題やその原因は極力具体的に、できれば数値を盛り込んでいくと、組織内のコンセンサスを得る際に説得力が増します。
- 悪い例)抽象的すぎる
「営業第1部の業務効率が悪く、売上が予算に未達。その割に人件費が嵩んでいる。業務をマニュアルでやっていることが原因かと思われる」
- 良い例)具体的
「営業第1部は部員が1日平均50件の問い合わせを手動で対応しており、明らかに部員一人あたりの対応可能件数をオーバーしている。この影響により時間外労働も一人当たり1日平均3.0時間を超過しており、人件費が予算の15%増となってしまっている。売上も月予算1000万円に対して850万円をと未達であり、従業員の一部からは『辞めたい』という声があがっていて、心身のストレスも最高潮。喫緊の課題解決が求められる」
1-b. ソリューションの洗い出しや効果予測を分析、予算も算出(DXが本当に必要か判断)
上記で洗い出した課題やその原因を元に、ソリューションを組み立てていきます。
ソリューション案も、極力具体的なものを挙げ、それによってどんな効果が期待できるかを具体的に分析していきます。上記「営業第1部」を例にあげます。
例)AIチャットツール「XXXXXXX」を導入。これにより、問い合わせの70%をAIチャットツールで処理することができるため、労働時間や負担が一人あたり1日3時間軽減できる。これは時間外労働が丸々カットでき、人件費を現予算から20%減らすことができる。売上は予算の95%程度の達成となるが、人件費をカットできるぶん、利益が予算の120%を達成できる見込み。なお、本ツールの導入はイニシャルでXXXXXX円かかるが、3ヶ月程度で回収でき、その後は継続的に利益を予算以上に達成できることが見込まれる。
1-c. 人材の確保や役割の明確化
DXを導入・推進していくにあたり、必要とされている主な人材は以下のとおりです。組織内の予算や資金、人材が潤沢であれば、全てインハウスで実施していくことがコスト面で最も有利です。
- デザイナー(企画):着想して、企画を推進する人
- デベロッパー(技術):技術的に実現可能かを検討しながら試作を作る人
- プロデューサー(総括):プロジェクトとして人や組織を動かす人
1-d. タスク洗い出し&各タスクをアサイン&タイムライン作成
導入が決まったら、導入にあたってのタスクを極力全て洗い出しましょう。そして各タスクを担当者にアサインし、デッドラインを設けてタスク管理をしっかりやっていきます。
ちなみにタスク管理ツールもオンラインで効率的に行える時代です。様々なツールがありますが、個人的には以下2つが特におすすめです。
画像)Asanaのタスク管理画面。英語版が表示されていますが、日本版もあります。
②DO
ソリューションを具体的に実行していきます。人が手を動かす実行案もあれば、上記のようにシステムを導入するだけ、というもののありますので、ここでは詳細を割愛します。
③CHECK
3-a. 成果の確認&課題の洗い出し
上記を実行したことにより、どのような成果が生まれたのかを、事実のままチームや組織に共有します。これも出来るだけわかりやすく具体的に、数値などを盛り込んでチームに共有します。
成果がポジティブであってもネガティブであっても、必ずその理由や原因を明確にしましょう。それを怠ると、次にどのようなアクションを起こせば良いのかが分からなくなってしまいます。
3-b. 改善案の洗い出し
3-aで成果の理由や原因を洗い出した後は、それに基づくソリューションを提供します。
例えば、上記「営業第1部」において導入したAIチャットツールが問い合わせ処理はできたものの、クレームも同時に増えてしまった場合、もしかしたらAIチャットツールの答え方に問題がある場合があるかもしれません。その場合はクロージングのプロセスを見直す、などの改善案が考えられます。
④ACTION
ソリューションを具体的に実行していきます。もしここで再び上手くいかないことがあれば、③CHECKに戻り、再び改善したほうが良いのかどうか、検証を行います。
DX導入にあたっての「鉄則」
DX導入の対象を考える時、「組織内を優先すべきか、それ以外(顧客や協力会社など)を優先すべきか」という議論になることが多いと思います。私個人の意見としては、「組織内を優先すべき」と考えます。
ポイントとしては、「できることから、まずやる」と「やって効果が出そうなことから手をつける」の2点です。
まず、自分の組織(会社や部署など)の中の業務にDXを導入するのが、DX成功の一番の近道と言えます。その理由は、いきなり顧客に対してDXを導入しても、リスクがそこに存在してしまいますが、自分が良く知っている組織については、DX導入の成果が想像しやすく、かつ自分や仲間の仕事効率が上がりモチベーションUPにもつながり、その後の社外に対するDX対応が必要な場合も、意欲的に取り組めるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめると以下のようになります。
- DXの定義や語源、はじまり
- 定義
- 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
- 語源
- デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)を意味
- デジタルトランスフォーメーションを世界で最初に提唱したのはスウェーデンのウメオ大学(Umeå University)のエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)教授
- はじまり
- 特定の事象を判定するのは難しいが、DXの「はしり」の一つとして、AppleのiPodなどに代表される、「音楽業界のデジタル化」が挙げられる
- 定義
- DXを導入すべき理由
- ビジネス環境が大きく変化しており、順応する必要がある
- テクノロジーが大きく進化したため「導入しない手はない」状態に
- DX導入事例
- 不動産仲介会社におけるマーケティング&営業活動の変革
- 宿泊施設運営会社によるCS活動の変革
- DX導入の具体的手順
- PLAN
- 1-a. 課題の洗い出しや原因の追求
- 1-b. ソリューションの洗い出しや効果予測、予算を算出(DXが本当に必要か判断)
- 1-c. 人材の確保や役割の明確化
- 1-d. タスク洗い出し&各タスクをアサイン&タイムライン作成
- DO
- 実行
- CHECK
- 3-a. 成果の確認&課題の洗い出し
- 3-b. 改善案の洗い出し
- ACTION
- 改善案実行
- その後、さらに改善が必要であれば❸CHECKに戻る
- PLAN
DXがどのようなものかなかなか分からない、という方もいらっしゃるかと思いますが、導入することによって単なるデジタル化や業務改善に止まらず、ビジネスや人々の生活や仕事のやり方を大きく変革できる可能性も秘めています。
エフィ・ビズではこれまでいくつものDX導入をお手伝いさせていただき、コンサルタント自らDXプロジェクトを推進してきた経験が豊富です。
DXのプロジェクトは一見大変そうに見えますが、導入することによって成果をあげるために存在するもの、とも言えます。検討されている方は、是非一度エフィ・ビズにご相談ください。何かしらのお力になれれば幸いです。
初回のミーティングは無料となっておりますで、以下からお気軽にご相談くださいませ。なお、無理に営業するようなことはありませんので、どうかご安心ください。